大きな花が存在感のあるユリ。長持ちさせるテクニックが多く、手入れのやり甲斐のある花です。
このページでは、花屋さんがおすすめするユリの手入れの仕方を写真付きで紹介します。
ユリの切り花を長持ちさせる飾り方と手入れの仕方
オリエンタルユリが安く売っていたので買ってきました。あま~い香りと大きな花が存在感があってかなり好きな花なのですが、なかなか自分で花を買う機会もなくなり、花屋さんでの仕事を辞めてから初めて自分用に買ったユリです。ちょっとウキウキしてしまいます。
まだ完全に蕾の状態ですし、涼しい季節なので3週間くらい持つんじゃないかと思います。ユリの成長を記録しながら、花屋さんで培った長持ちさせる方法と手入れの仕方を紹介したいと思います。
ユリを飾るときにやりたいこと
まずは飾る準備をしましょう。
花屋さんですでに手入れをしてくれていることが多いですが、自宅で飾る状況に合わせて手を加えることで、よりきれいに、長持ちさせることが出来るので、最初の手入れは大事なポイントです。
こちらが買ってきたユリです。オーストラリアの7月で、暦の上では冬なのですが、25度~10度くらいの気温の地域で、日本でいうと春秋という感じでしょうか。
花瓶に合わせて茎を切りましょう
ユリは茎が長い状態で売られていることが多いですよね。好みに合わせてアレンジしやすいように、という配慮なんですが、茎は長いままのほうが成長がゆっくりになる、というメリットもあります。
花が咲くまでに時間は掛かりますが、枯れる時間を少しでも遅らせたい場合には、背の高い花瓶に茎が長いまま飾るのがいいですね。そっちのほうが高級感も出ます。
我が家には高級感が似合わないのと、そんなに背の高い花瓶もないので、小さめのこの花瓶を選びました。IKEAで3ドル(200~300円くらい)の安くて便利な高さです。
このまま飾るのでは長すぎるので、花瓶の高さの倍~2,5倍くらいの長さを目安に茎を切ります。
下のほうの葉を取りましょう
ユリにはたくさん葉が付いていますが、あまり多いと葉から水分が蒸発しすぎて水不足になってしまうので、上の方の一部を残して、下のほうの葉をごっそり取ります。すでに花屋さんで処理済みである場合には、このステップはパスしてOKです。
とくに葉が花瓶の水に浸かってしまうと、水が汚れる原因にもなってしまうので要注意です。
たくさん葉が付いているときには、こちらの方法が早くて便利ですよ~!
確認が甘くて花が折れているものを買ってきましたね。ユリはこの付け根の部分から折れやすいので、選ぶときには注意して見てみましょう。
折れていたユリは蕾が小さいのできれいには咲かないと思いますが、せっかくなので飾ってみました。ちょうどいいサイズの花瓶は使用中だったので、カップで代用。
追記:1週間経ったころに水換えをしようかと思ったら、頭からボキッと落ちてしまいました。開花ならず…
花瓶の水は控えめに
水に浸かっている茎は腐りやすいので、花瓶の水の量は、花瓶が倒れず、次の水換えまでに茎が出てしまわない程度に少なめがいいです。
今回はこれくらい。庭のサンゴジュの葉といっしょに飾ったので、茶色くて太い茎が混ざっています。ユリとサンゴジュ、2種類の切り花をいい感じの位置にアレンジしたときに、切り口が出てしまわない程度の量です。
夏場は水が蒸発するのもユリが水を吸い上げるのも早いので、もう少し入れたほうが安心ですね。
ユリを水切りして飾ります
ユリの茎の切り口が乾燥してしまっているので、飾るまえに切り戻して水上げを良くしましょう。
ここでのコツはふたつ!水中でハサミを入れることで、切ってすぐの乾燥を防ぐことと、斜め45度に角度をつけて切ることで、水に触れる面を広くして、ユリがたくさん水を吸えるようにすることです。これを水切りといいます。
水切りについてもっと詳しく知りたい場合にはこちら。
切り花用の延命剤は使う?
延命剤や、延命剤代わりの漂白剤、砂糖は切り花を長持ちさせたり、きれいに咲かせたりするのに効果がありますが、今回は茎も短めに切っていますし、わたしはユリには使わなくていいかなーと思っています。
水換えが頻繁にできない場合には、少しでも水をきれいに保つために使うのもいいですね。あとは、茎が長いと水上げが悪いことがあるので、花の水上げを助けるために、延命剤は効果的です。
涼しい場所に飾りましょう
飾る準備ができました!ユリは暖かい場所では成長速度が早まります。蕾を早く咲かせたい場合にはそれもいいですが、そうでなければ涼しくて風通しのいい場所に飾りましょう。
花を傷める直射日光、乾燥させるエアコン、暖房の風の当たる場所は、ぜったいに避けたいところです。
写真はキッチンですが、実際にはダイニングテーブルの上に置くことにしました。家の中でいちばん目に付く場所で、日光が当たりません。
ユリを長持ちさせるためにやりたい手入れ
ここからは、きれいに長持ちさせるためのメンテナンスです。
ユリは切り花の中でもとくに手のかかる花ですね~!サボっても急激に枯れてしまうことはないのですが、手を掛けた分だけきれいに楽しめるのでやり甲斐があります。
水の交換をしましょう
花瓶の水はきれいに保てれば保てるほどいいです。理想的には毎日行いたいですが、今は水が汚れやすく減りやすい夏ではないので、2日に1回交換することにします。
水交換をするときに、花瓶の中をサッと洗い、ユリの水切りも行います。
これは最初に飾ってから2日後のようすです。花が水を吸ってかなりすくなくなってますね…!思ったよりも水を吸っているので、様子を見ながら必要そうなら毎日水交換をします。
開花し始めたら花粉を取りましょう
ユリには雄しべが6本、雌しべが1本ついています。雄しべについている花粉を残しておくと、花が枯れやすく、汚れっぽくなってしまうので、開花し始めたらなるべく早く取り除きましょう。
わたしはこれくらい開き始めているのを見つけたら、指を押し込んで取ってしまいます。
ユリの花粉取りにはコツがあります。詳しくはこちらのページで紹介しているので、是非一度ご確認ください。
もし花粉取りに失敗して、手や服の汚れが取れない~!という場合はこちらもどうぞ!最初のとり方を間違えないことが大切なので、知っておくと万が一のときに安心です。
枯れた花を取り除きましょう
ユリは下のほうの花から咲き始め、上の方の花が咲く頃には、最初に咲いた花はすでに枯れ始めています。
枯れたままの花を残しておくと見栄えが良くないですし、まだきれいに咲いている花が枯れる速度も早めてしまうので、見すぼらしくなってきたら根本から切り取りましょう。
最初に開花した花が茶色くなってきました。購入してから12日目です。どのタイミングで取り除くかは好みで構いませんが、わたしはこれくらいになったら切ってしまいます。
葉っぱも黄ばみ始めるので、順次取り除きましょう。
さいごまできれいに楽しみましょう
購入してから2週間と1日目の様子です。思ったよりも暖かい日が続いていて、この様子だと3週間は持たなそうですね。傷んだ花が増えてきて、花の数が減り、だらしのない印象になってきたので、茎を短くし、花瓶を交換して飾り直します。
花瓶に合わせて茎をがっつり短くしたのですが、こういう2つ花が残っているユリの場合、まとめて茎を短くするより、茎を別々にしたほうが飾りやすいです。
できました!ここに来て葉物がいい感じにボリュームを出してくれますね。ちょうどいい花瓶がなかったので、あまっていた観葉植物カバーで代用しています。
花は4つだけ残っています。いちばん小さい蕾は途中で頭がポロッと落ちてしまったのですが、そのほかの蕾はすべて咲きました。
さらにその2日後。花を一つ残して茶色くなってきていたので、さらに小さな瓶に引っ越しました。
枯れてきたので処分しました
購入してから2週間と5日目です。さいごの花も全体に透明っぽくなってきて、瑞々しさがなくなってしまったので処分しました。水やりはだいたい2日に一回。春秋くらいの気候ですと、こんなものだと思います。
ユリちゃん、きれいに咲いてくれてありがとう!
合わせるならどんな花?
ユリは花が大きいので、ユリだけ、葉物を足すだけでも豪華ですが、ほかの花と合わせると雰囲気が変わる魔法のような花です。
大ぶりのキクやグラジオラス、ガーベラなどの大きな花か、かすみ草、スターチス、アルストロメリアなどの一つの茎にたくさん花が咲いているものが合わせやすくて、花屋で好んで合わせていました。
今回足したのは庭から切ってきたサンゴジュです。剪定ついでに3本切ってきました。ツヤツヤしてボリュームのある葉がアレンジするのに便利で、オーストラリアでよく使われる安値の葉物ですね。持ちもいいです。
きれいに咲かないときのトラブルシューティング
心を込めてお世話をしても、なぜか元気がなくなってしまうことはあるものです。その原因、もしかしたら解決できるかもしれませんよ!
切り花を長持ちさせる方法については、こちらのページでもいろいろまとめています。
ユリの蕾が咲かないのはなぜ?
まだ色の付いていない、固い蕾のユリを購入した場合、花が咲くまでにかなり時間がかかることがあります。とくに冬場、廊下などの寒い場所に飾っていると、10日経ってもまだ花が咲き始めない、ということも。
もし心当たりがあるようでしたら、暖かい場所に移動して成長を促進させてみましょう。切り花のユリが寒さに耐えられずに枯れてしまった、という経験はわたしにはありませんが、そんなに寒い地域で暮らしていた経験はないので、つねに氷点下になるような地域だと注意が必要かもしれません。
これは今回購入したユリの4日目のようすです。ようやく下のほうの大きい蕾が色づいて、膨らんできたところですね。夏場はもっと早く成長しますが、冬に寒い場所に飾っていると、倍は時間がかかることもあります。
早く咲かせる方法についてはこちらで紹介しています。お急ぎのときは参考にどうぞ!
蕾が咲かないで枯れてしまう
切り花のユリは蕾を咲かせる以外の成長はしません。切った茎は伸びないし、取った葉っぱは生えてこないし、蕾は買ったときよりもグンと大きくなることはありません。
なので、一番上の先っぽに付いている小さな蕾はそれ以上大きくならないので、咲かずに枯れてしまうか、咲いたとして小さくて不格好な咲き方をします。
それ以外の大きな蕾は、基本的には特別な手入れをしていなくても咲くものですが、もし咲かないようでしたら、茎のどこかで水を吸い上げる管が詰まってしまい、水が吸い上げられていない可能性があります。
完全に枯れてしまう前に、茎を短めに切って花が水を吸い上げやすいようにしてみましょう。
このユリの場合、大きい蕾3つは咲くけど、一番上の小さいやつはおそらく咲かないと思います。
葉物がシナシナになってしまった
ユリとは関係ないのですが、今回一緒に飾ったサンゴジュが、2日目の朝にはぐったりしていました。1本だけならともかく、なんと3本すべてです。
自宅の庭のサンゴジュなので、諦めて捨ててしまってもよかったのですが、せっかくなので湯あげして復活させました。
ちょっと手間ですが、このとおりシャキッ!と元気に元通り♪湯あげは、買ったばかりの花が元気がないときに有効です。