水あげの方法の中でも、とくに元気のない切り花に効果的なのが湯あげ。初めて聞くと「生花に熱湯なんて、本当に使ってもいいの?」と心配になってしまいますよね。
このページでは、そんな湯あげのやり方を、どんな温度でどれくらいの時間、どんな花を、どういう手順でお湯に浸けたらいいのか、どこよりも詳しく!紹介します。
湯あげにはどんな効果があるの?
茎に通っている導管で水を吸い上げて、花や葉っぱに届ける切り花ですが、導管はほそ~い管なので、ちょっと空気が入り込んでしまうと、それが妨げになって水を吸い上げることができなくなってしまいます。
茎の断面が乾燥したり、汚れてしまって水上げが悪くなっている場合には、水切りをすれば改善しますが、空気がたくさん入ってしまっていると、全部取り除くためにはそうとう短く切らなくてはなりませんよね。
そんなときに行うのが湯あげ。茎を熱湯につけることにより、導管に入ってしまっている空気を外に押し出し、切り花の水あげをスムーズにすることができます。
どんなときに湯あげするの?
切り花は水あげが悪くなると、茎が柔らかくなって花の重さに耐えられずに下を向いてしまったり、葉に水が行き渡らずに萎れてしまったりします。
そこまでひどい状態でなくても、なんだか花が元気がないな、という場合、導管が詰まっている可能性が高いので、湯あげを試してみてください。
湯あげが効果的な花、向いていない花の種類
湯上げはほとんどの花に行うことができます。もともと水あげが良くなくて、すぐに茎がへなっとしてしまうバラにも効果的なのが嬉しいです。しなっとしたバラは、そのまま放っておくと枯れてしまうので、湯あげは心強いですね~!
湯あげをしても効果がないのは、チューリップやスイセン、ヒヤシンスなどの球根植物や、カーネーション、アンスリューム、トルコキキョウ、キクあたり。これらの花には、多めの水に浸けておく深水法などを試しましょう。
花を湯あげする方法
花を熱湯に浸ける、というと、ものすごく慎重にならなくてはいけないような気がしますが、やることさえ分かっていれば、湯あげはとっても簡単で、簡単なのにとっても効果的です。
やることは単純ですが細かいコツは多いので、ひとつひとつチェックしていきましょう。
今回は、ユリの手入れの仕方を紹介しているページでいっしょに飾っていたサンゴジュの葉がぐったりしていたので、湯あげしてみることにしました。
前日に自宅の庭で摘んだ採れたて新鮮のはずなのですが、朝起きたらこの状態です。枯れるにはあまりに早すぎます。
このサンゴジュも登場するユリの手入れ方法はこちら!
用意するもの
- 新聞紙
- よく切れるハサミ
- 80度以上の熱湯
- 花の高さくらいの量の水と花瓶などの容器
湯あげの手順
熱湯と水を事前に用意します
切り花を浸ける用の熱湯と、湯あげが終わったあとに切り花を浸けておく水を用意します。写真は浸ける用の水です。大きすぎて使いみちのない花瓶がここに来て役に立ちました。
熱湯は、ケトルで沸かしてボコボコ沸騰してくる直前くらいのものを、キッチン用のボウルに準備しました。
新聞紙などで花を守りましょう
湯上げをする前に、まずは花が傷まないように準備をします。熱湯に触れるのは茎だけにして、湯気で花や葉を痛めないように、新聞紙を巻きつけて守ります。
新聞紙は花全体を覆うようにして、曲がってしまっているのも矯正するように、花や葉を潰さない程度にきつめに巻きましょう。
茎を切り戻しましょう
茎の切り口が詰まっていてはうまく湯あげできないので、根本を切って新鮮な状態にします。水切りする必要はありませんが、切るときには切れ味のいいハサミを使って、スパッと茎を潰さずに切ってください。
切れ味の悪いハサミを使って、茎を押しつぶすように切ると、導管も潰してしまって水が吸い上げられず、逆効果になってしまいます。
切り口を熱湯に入れます
根本を切ったら、断面が乾燥してしまう前に、すぐに熱湯に茎を入れます。熱湯に浸けるのは、茎の先のほんの2~3センチで充分なので、浸けすぎないように注意です。
茎の切り口から、小さな空気がふつふつ出てくるので、出てこなくなるまで30秒から1分ほど熱湯に入れて待ちます。
今回は、後ろ2本はすぐに終わったのですが、手前の太い茎からダラダラ空気が出続けたので、それが終わるまで待機。
水に入れます
湯上げが完了したら、花が茹だってしまわないよう、今度はすぐに水に入れ、花を冷やして水あげします。新聞紙を取ってしまうと茎がヘナヘナになったままになってしまうので、新聞紙を巻きつけてサポーター代わりにしたままにしてください。
水の高さは花の半分くらいまで、なるべく葉っぱが濡れない程度の量を用意してください。新聞紙は濡れてしまっても構いません。このまま2時間前後浸けておきます。
湯あげ完了です!
これで湯上げが完了しました!新聞紙を外して、花瓶に飾りましょう。
最初に紹介したサンゴジュもこの通り!
この先端の小さな葉がグダグダになっているサンゴジュも
シャキッ!としました!
熱湯につけた茎の部分は、黒く色が変わってしまっていることがあります。見栄えがしないので切り落としたくなりますが、ぐっと我慢して、最低でも2時間、できれば翌日まで待って水切りしてください。
まとめ
元気のない花を湯あげをすることで、水あげの悪くなった花の水あげを良くして、ふたたび元気にして長持ちさせることができます。温度や手順を間違えると効果がないので、細かい部分も知ってから行いたいですね。
「いろいろ準備するものが多くて、思ったよりも面倒くさいな~」と思ってしまったひとには、やらないよりはマシなズボラ版もあるのでこちらもどうぞ!