「花瓶に氷を入れると切り花が長持ちするよ」というアドバイスを聞いたことがありませんか?切り花は暑さに弱いので、冷やせば効果的、というのは、いかにもありそうな話ですよね。しかしその方法、本当に効果があるどころか、花を傷めてしまっているかも?
良かれと思って試したことが逆効果にならないように、氷を入れると切り花にどういう影響を与えるのか、改めて知っておきましょう。
花瓶に氷を入れると花が長持ちする?
切り花を長持ちさせるには、花瓶の水をきれいに保ち、できるだけ頻繁に水を交換するのが、なにより効果的です。
理由は単純で、水が汚れ、バクテリアが繁殖してしまうと、汚れが茎に詰まって花が水を吸い上げられなくなってしまうのを防ぐため。とくに夏場はバクテリアが繁殖しやすく、水も汚れやすいので、こまめに水交換をして、お花が十分な水分を補給できる状態を保つのが、切り花を長く楽しむ極意です。
と、ここまで読んだところで「なるほど、氷を入れて水を冷やせば、バクテリアが繁殖しにくくなって水がきれいに保てるんだな」と思ったかもしれません。
花瓶の水に氷を入れ、切り花の延命を狙う…というアイデアの目的はまさにそれなのですが、残念ながら、期待通りの効果が得られるかというと「ごめんなさい、氷では役不足です…」ということになってしまいます。
なぜ氷水は効果がないの?
実際に氷の入った水を置いてみれば分かると思うのですが、夏の暑い日、氷はほとんど一瞬で溶けてしまいます。水を換えてから数分くらいは冷たい水を保てるかもしれませんが、そのあとどんどんぬるくなり、すぐに入れなかった場合と変わらない状態になりますよね。
バクテリアを防ぐためには、水を0度前後に保つ必要があります。つねにバクテリアの生存できない0度を保つことができれば良いのですが、ほんの数分水が冷たくなる程度では、切り花の延命に貢献しているとは言いにくいです。氷が入っていて涼し気な様子を目で見て楽しむ、くらいのメリットでしょう。
逆効果になってしまう可能性も
それなら、気がついたときに氷を追加して、少しでもバクテリア対策をすれば良いかな?というと、残念ながら今度は逆効果になってしまいます。
切り花は繊細で、ほとんどの花は温度変化に敏感です。気温が高いのに水が冷たい状態はストレスになってしまい、温度差にのぼせてしまったり、疲れて元気がなくなってしまいます。
水の管理目的で氷を使うのは諦めて、ほかの対策を取るほうが効果的です。
花瓶の水をきれいに保つには
花瓶の水をきれいに保つには、頻繁に水を交換して、そのたびに花瓶もきれいに洗うことが一番です。とくに夏の暑い時期には、毎日1回水換えするのが理想的です。(とはいえ、水換えがストレスになってしまっては元も子もないので、できる範囲でお世話をしましょう)
花瓶の水にバクテリアが繁殖するのを予防したい場合には、氷を入れるよりも、ハイターなどの塩素系漂白剤、酢、切り花専用の延命剤を水に混ぜるのが効果的です。
どれも必要な量はほんのちょっと。入れすぎると花を傷めてしまうので、使用量に気をつけて使いましょう。詳しい使い方についてはこちらもどうぞ。