5月から6月にかけてあちこちで見かけるアジサイは、この季節にだけ楽しめる自然界の贈り物。アジサイの切り花を購入したり、分けてもらったり、庭に咲いたものを切って飾ったりする人も多いのではないでしょうか。
しかし、せっかく切り花にしたアジサイが、すぐに茎が柔らかくなって頭がクタッとなってしまい、がっかりしてはいませんか?このページでは、アジサイの元気がないときにできることや、長持ちさせる方法を紹介します。
アジサイの切り花はどれくらいもつの?
家に切り花がきたときの状態にもよりますが、花市場から届いたばかりのアジサイなら、だいたい1週間くらい元気に咲いていることが多いです。様子をみながらお世話をしたら、もう少しもつと思います。
早いと数日で枯れてしまう、という情報があちこちに書いてあってびっくりしますが、新鮮な花を涼しい場所に飾ってちゃんと水を吸うようにしておけば、アジサイは長く楽しめる切り花です。
アジサイを庭から切るときに気をつけたいこと
庭に咲いているアジサイは、ある程度楽しんだあとで潔く切り花にすると、次に膨らんできたつぼみに水分や栄養分を回してきれいに咲かせることができます。せっかくきれいに咲いている花を切ってしまうのは可哀想な気もしますが、地植えのアジサイをより長く楽しむためには必要な作業です。
自宅のアジサイを切り花にするときには、早朝か夕方以降の、日差しが柔らかくて涼しい時間帯が最適。水を入れたバケツを持って外に出て、アジサイを切ったらすぐに切り口を水に入れましょう。
アジサイの切り花を長く楽しむための基本のお手入れ
アジサイは水が大好きな花ですが、水揚げがよくないので、ほっておくとすぐに頭が垂れ下がってしまいます。花と茎がシャキッ!とできるように、水がすみずみまで行きわたようにしてあげましょう。具体的にできることは3つあります。
水切りをしましょう
切り花は水に浸けたままにしておくと、水中の汚れやバクテリアが茎に詰まって水の吸い上げが悪くなってしまいます。ですので、1日一回、花瓶の水を替えるときに、根本を少し切って断面を新鮮な状態にしましょう。
このとき、空中でハサミでチョキンとやると、切ったばかりの新鮮な断面が空気に触れて乾燥してしまいます。すぐに花瓶に入れれば空気に触れるのはほんの一瞬ですが、細い茎にある管から全体への水分を吸い上げることに依存しているアジサイにとっては大問題!
これを防ぐために行いたいのが「水切り」です。やり方は簡単。根本を切るときには空中で切らずに、水に浸けた状態で切るだけです。
切れ味の悪いハサミを使うと、茎や管を潰してしまうので、切れ味の良いハサミでスパッ!と、斜めに角度をつけて切りましょう。
茎のなかのわたを取りましょう
また、アジサイの茎の中には、白い綿のようなものが詰まっています。これが入ったままだとうまく水を吸い上げることができないので、水切りをしたら、花瓶に飾る前にハサミの先、ピンセット、爪楊枝などの細いものを使ってほじくり出しましょう。見える範囲、できる範囲で大丈夫です。
余分な葉を取りましょう
これでしっかり水が吸い上げられるようになったアジサイですが、地面に根を張って咲いていた頃と比べると、どうしても水が足りなくなってしまいます。切った断面から吸い上げられる水の量には限りがあるので、主役の花が萎れてしまわないように不要な葉は早い段階で取ってしまいましょう。
葉を取るときには、飾るときのアレンジと相談して上のほうの葉を2、3枚残して、下の方の葉を取ります。
他にもある!切り花を長持ちさせる方法
アジサイを長持ちさせたい場合に、とくに気をつけたいのは以上の3つですが、より長持ちさせるためには、直射日光やエアコンの直風が当たらない場所に飾ったり、専用の延命剤を使ったり、水をきれいに保つために花瓶を洗ったりなど、できることはもう少しあります。
花屋で働いていて「長持ちさせるにはなにをやったらいいの?」と聞かれたときに答えていたことはこちらのページでまとめているので、お役に立てたら嬉しいです。
アジサイの切り花が元気がないときに復活させるには?
ちゃんと水が吸えるように水切りをしていても、元気がなくなって茎がしなっとしてしまうこともあります。アジサイは花が大きくて重いので、とくに花が下を向いてしまいがち。そうなってしまっても、諦める前にできることを紹介します。
茎を思い切って短く切りましょう
アジサイの元気がなくなってしまうのは、殆どの場合水分不足が原因です。切り花は茎が短いほうが水揚げが良いので、思い切って茎を短く切って、花までしっかり水が届くようにしてみましょう。
茎を切るときには、水切りすることを忘れないでくださいね。
湯上げをしましょう
茎をあまり短くしたくない場合や、茎を短くしても心配な場合には、湯上げをして確実に水揚げがよくなるようにしましょう。湯上げをすると、茎に入ってしまって水揚げの妨げになっている気泡を押し出すことができます。
やり方は簡単ですが、水切りに比べるとちょっと手間です。
まず、熱湯の準備をします。温度が80度以下だと効果がないので、しっかりと沸騰していることを確認してください。そこに茎を入れるのですが、花が熱い湯気に接触すると弱ってしまうので、新聞紙などで花を覆って保護します。新聞紙は茎にしっかりと巻きつけ、蒸気が入り込まないようにしましょう。
準備ができたら、アジサイの茎を2センチほど熱湯に入れて30秒数えます。切り口からブクブクと泡が出てきたら、茎の中の空気が出ていっている証拠です。
湯上げが完了したら、すぐに冷たい水に入れます。このときの水は10~15センチくらいの深さにして、湯揚げするまえに予め準備しておきましょう。そのまま1~2時間つけてから、水切りして花瓶に戻します。
焼きあげをしてみましょう
アジサイの場合、湯上げの代わりに焼きあげでも同じ効果が期待できます。
焼きあげする場合には、茎を熱湯に入れる代わりに、ライターやガスコンロで根本が炭になるまで焼くだけです。湯上げのときと同じく、火を扱っているときに花を保護するために新聞紙を巻き、焼き上げが終わったらすぐに冷たい水に入れます。
花ごと水に浸けてみましょう
湯上げ、焼きあげができればそちらのほうがいいのですが、切り花にそんなに手をかけていられない!という日も、どうしてもありますよね。
そういう場合でも、しなしなしてしまっているアジサイをそのままにして枯らしてしまうよりは、花ごと水につけて、葉や花から直接水分を吸収できるようにしてみてください。バケツやシンクに水を張って、まるごと数秒水に漬け込むだけでOKです。
やりすぎると花びらを痛める原因になってしまいますが、アジサイは丈夫な花なので、元気がないときの応急処置にはかなり効果が期待できます。
まとめ
水揚げのよくないアジサイは、いかに花まで十分な水分が行き渡るようにするか、が大切です。水分不足になって茎がしなっとしてしまったり、花がクタッとしてしまわないように、毎日水切りして茎の断面を新鮮な状態に保ちましょう。
もし元気がなくなってしまっても、ちょっと手をかけてあげれば復活する可能性はまだまだあります!処分してしまうまえに手をかけて、季節限定のアジサイを長く楽しんでください。