青が好きな女性に、男の子に贈る花束に、いつもとは違った珍しいフラワーアレンジメントに、青い切り花を主役にしたい!というお客さんがたまにいらっしゃいます。しかし、青い花は花屋にとってちょっと特別。花束を作らせてもらう前に知っておいてほしいことや、青い花にはどんな花があるのか?を紹介します。
青い花は珍しい?
青い花自体はそれなりにありますし、花自体は珍しい!というほどでもないのですが、花束にするための切り花に限定していうと、そんなにたくさんの種類があるわけではなく、花屋さんでいつでも取り扱っているか、花市場で迷っちゃうくらいの種類があるか、というと、そうではありません。
とくに万人に受けるフラワーアレンジメントに使いやすい花の中には、青い花がほとんどないので、青い花を使った花束には、花屋さんの経験とセンスがよく現れると思っています。
ですので、青い花の花束を作ることは不可能ではありませんが、当日言われても花がない、ということになりかねません。青い花の花束をご希望のさいには、1週間から3日前までには予約、というか相談をするようにしましょう。
花束にも使いやすい青い花リスト
それでは青い切り花で、花束にも使われるのにはどんな花があるのでしょうか?独特な見た目をした花が多いので、花束が完成したところが想像しにくいかもしれないと思い、画像つきで紹介します。
年中出回っている青い花
花市場で見つけやすく、花屋さんも取り扱いに慣れていることが多いのがこちら。いつでも購入できる花には丈夫な物が多いので、せっかく購入した切り花にはより長持ちしてほしい!というときにも安心です。ちなみに、長持ちする切り花の選び方についてはこちら。
デルフィニウム
青い花の切り花といえば、真っ先に思い浮かべる花屋さんが多いのがデルフィニウム。いくつか種類があり、一口に青といっても、深い青から水色混じりの白まで選べます。
柔らかい花びらがやさしくて涼しい印象を与えるデルフィニウムは、ひとつの茎にいくつも花が付いている特徴的な形をしているので、デルフィニウムだけで花瓶に飾ると簡単におしゃれなアレンジメントになるのですが、慣れていない人がほかの花と一緒に花束にしようと思うと、む、むずかしい…!花束にするのにデルフィニウムと他の花をお客さんが選んで持ってくると、試されている気持ちになります。
そんなデルフィニウムの花言葉は、「清明」、「軽やか」、「陽気」。青い花にはさらに「幸運を振りまく人」、「壮大な心」、「誰もがあなたを慰める」という意味が込められていて、純粋な思いやりを感じさせる花です。
ブルースター
小ぶりでかわいい感じの花束をイメージしている場合には、ブルースターしかありません!ピンクは女の子の色、青は男の子の色、という先入観は今でも根強いですが、ブルースターの青は断然女性的。ブルースターを主役に豪華な花束を作ることはできませんが、ほかの花の引き立て役に、もしくはブルースターを主役に華美すぎないナチュラルなフラワーアレンジメントは、ちょっとした贈り物にするのに嬉しい大きさです。
花言葉は「幸福な愛」、「信じあう心」、「望郷」。芯の強さと現状の充実感を彷彿させます。
エリンジウム
くすんだ青がおしゃれなエリンジウムは、そのまま乾燥するのでドライフラワーにするのに人気の切り花です。特徴的な形をしているので、ほかの花と合わせるときのアクセントにして、一味違った雰囲気を出すのに優秀ですが、あまり強い色ではないことと、あまりに見た目が独特なので、合わせるにはセンスが必要です。
花言葉は「秘密の恋」、「秘めたる愛」、「光を求める」と、花言葉を意識して贈り物にするにはちょっと意味深な感じに。
キク
イエロー、ホワイト、ピンクあたりが主流のキクですが、さいきん青いキクが開発され、フラワーアレンジメントに新しい風を吹き込みました。絵の具で塗ったような鮮やかな青のキクは染料で染められたものですが、淡い紫がかった青いキクは天然の青です。
まだ珍しくいつでも手に入れられるわけではありませんが、季節限定というわけではないので、年間を通して出回っている花扱いに。
そんなキクの花言葉は「高貴」、「高潔」、「高尚」と、溢れる自信と格調の高さが伺えます。キクは色別でも花言葉が付いていますが、開発されたばかりで珍しい青いキクには、まだ特別な意味は込められていません。どんな花言葉が与えられるのか、誰がいつ付けるのか、楽しみにしながら発表を待とうと思います。
春に出回る青い花
花が咲き乱れる春には、いつもよりももう少し選べる青い切り花の種類が豊富です。花屋の店先でちょっと目に止まった花を自分用に買ったり、花束というほどではないさり気ない花を手土産にするのも、春を感じられてウキウキします。
アネモネ
アネモネの青は、切り花の青の中でもとくにキリッとした青色です。絵に描いたような花の形をしているのも分かりやすく、男の子向けの花束に使うのにこれほど適した花もありません。2月ころから4月ころまでと、出回る時期が短いのが残念でなりません。
アネモネは茎が丈夫ではなく簡単に折れてしまうので、小さな花束向けで、無理して大きなアレンジにしようと思うと、作りながら茎が折れてしまいます。取り扱いには十分注意をしたいところです。
アネモネの花言葉は悲しいものが多く、「可能性」、「純情無垢」という前向きなものもあるものの、一般的には「はかない恋」、「恋の苦しみ」、「見放された」という、塞ぎ込んでしまうような絶望的なものが有名です。さらに青いアネモネには「あなたを信じて待つ」、「待望」、「固い誓い」という、強い思いを感じさせる意味が込められていて、アネモネ自体の悲しい内容を合わせて、もの悲しさを感じさせます。
ヒヤシンス
小学校のときに理科の実験で育てるものの印象の強いヒヤシンスですが、じつは切り花にすることもできます。茎が短くて柔らかく、若干扱いにくさはあるので、ほかの花と合わせて花束を作るというよりは、単品でシンプルな花瓶に飾るのが一般的です。
ヒヤシンスの花言葉は個性的で、「スポーツ」、「遊び」、「ゲーム」といった能動的な意味が強く、そのほかに「悲しみを超えた愛」というものもあります。とくに青いヒヤシンスには「変わらぬ愛」という意味も。
ニゲラ
ふわふわとした葉っぱのかわいいニゲラも、春にだけ出回る青い花です。緑のボリュームのわりに小さい淡い小ぶりの花がついていて、涼しげでかわいいのですが、ニゲラが好きな人に贈るにはいいものの、そうじゃなければ花束に使うには少し地味かなあ、というのが個人的な感想です。
花言葉は「当惑」、「ひそかな喜び」、「夢で会いましょう」、「夢の中の恋」など、幻想的な意味が強いです。
夏に購入できる青い花
暑い夏こそ爽やかな青い花が好まれます。よく見かける花束に使われている花はありませんが、特徴的で個性的で、それだけで映える花が多いです。たくさんの花や色を混ぜると、この時期には少し暑苦しくなるので、シンプルに一種類の花を贈るのも粋ですてきです。
アジサイ
大きな花の塊が愛らしいみんなが知ってるアジサイは、一本入っているだけで存在感があり、花束のボリュームもアップしてくれます。青によく合う白や緑のアジサイもあるので、色違いのアジサイで花束を作るのもすてきです。
しかし花言葉はあまり贈り物向けではなく、「移り気」、「浮気」、「無常」と、アジサイになんの恨みがあるの?という、否定的な言葉が並びます。さらに青いアジサイには「冷淡」、「傲慢」、「辛抱強い愛情」、「無情」という内容もあり、花言葉に興味のある人に贈るさいには、花言葉に他意はないことを伝えたいような感じになっています。
アガパンサス
庭に植える花の印象が強いアガパンサスですが、夏に切り花にしても長持ちするので、ちょっと変わった花を贈りたいときに優秀です。まっすぐな茎のてっぺんに、四方八方に向いた青いトランペット型の小花が涼しげですが、その独特の形状から、ほかの花と合わせるには向きません。
アガパンサスの花言葉は「ラブレター」、「恋の訪れ」、「知的な装い」。恋が始まったばかりの楽しい気持ちや、純粋な恋心を感じさせる、恋に関する花言葉の多い花です。
ルリタマアザミ
丸くてかわいいルリタマアザミは、花束に青みを足したいときの脇役にも、ルリタマアザミだけ集めて束にしてもかわいい夏の花です。切り花の日持ちしにくい暑い夏でも、比較的元気に咲いてくれるのが頼もしいです。
花言葉は「鋭敏」、「威厳」、「傷つく心」、「独り立ち」と、孤独な一匹狼を彷彿させる内容となっています。
ラベンダー
初夏の青い花といえばラベンダーは外せません!花束にするのは一般的ではありませんが、何にも変えられない夢のような香りと、小さくてそれだけでおしゃれな花、さり気ない色の葉のついたラベンダーが、個人的に大好きで庭に並べて植えてしまったほどです。
花言葉は「あなたを待っています」、「期待」、「沈黙」、「清潔」。ラベンダーの香りに心を落ち着ける効能があるように、安らいでいて静かな感情が込められています。
秋から冬にかけて出回る青い花
冬に向かって出回る花が少なくなっていきますが、寒い時期だからこそ選べる青い花もあります。青が濃くてシックな花が多いので、静かで落ち着いたこの時期の贈り物にもぴったりです。
リンドウ
リンドウを見かけると秋だな~~という気持ちになります。水彩絵の具のような透明感のある、ここまで気持ちのいい青い花はならなかありません。リンドウは他の花とも合わせやすいですし、花束らしいアレンジにしても、全体的に青い色を強調させることもできるので、秋に青い花をお探しでしたらぜひ手にとって欲しい花です。
花言葉も個性的で「あなたの悲しみに寄り添う」が代表的です。なんとも悲しくて優しい花言葉です。そのほかにも「悲しんでいるあなたを愛する」、「誠実」、青いリンドウには「誠実」、「正義」という意味もあります。
アイリス
力強い青色のアイリスは、アイリスだけを花束にするのもいいですが、黄色い花との愛称が最高に良く、カラフルなのに主張の激しくないすてきなアレンジメントを作ることができます。すぐに花開くので蕾の状態のものを購入して、日ごとどころか時間ごとに開いていく様子を楽しみたいです。
そんなアイリスの花言葉は「恋のメッセージ」、「吉報」と、スタイリッシュで大人っぽい見た目からは予想できない、かわいらしい内容が印象的です。
染めて青くした花
青い切り花には特徴的な形をしたものが多く、ちょっと変わった花束を作りたい場合にはいいのですが、見慣れた花束らしい花束で、色だけ青いアレンジにしたい!という場合には、ちょっと困ったことになってしまいます。
そんなときには、天然で青いわけではないけど、青く染めた花を使ってみるのはどうでしょうか?水に染料を混ぜ、その水を吸い上げさせることで青く染めたり、物理的に上から掛けて青く染められた花は、天然のものよりも分かりやすい青色をしています。
よく出回っているのは、バラ、ガーベラ、カスミソウ、キク、ランなどで、花束にもよく使われる、一般的な花が多いのが嬉しいですね。
パープルの花
青い花のかわりに、青みの強いパープルの花をメインに選んだり、青い花と合わせてより青みを強調するのに、パープルの花を選択肢に入れてみるのも悪くありません。
トルコキキョウ
年間を通して花屋さんで見つけることができるトルコキキョウは、濃いパープルから淡いパープル、ホワイト、グリーンと、青い花と相性のいい色の花が豊富です。
花言葉は「優美」、「すがすがしい美しさ」と、トルコキキョウの見た目通りのすっきりとした内容で、パープルのトルコキキョウにはさらに「希望」という輝かしい意味も込められています。
スターチス
スターチスは優秀な花で、比較的安く購入できるのにどの花にもよく合い、手軽に花束にボリュームを出してくれ、あまり手入れをしなくても長持ちし、乾燥しやすいのでそのままの色を保ってかんたんにドライフラワーにすることができます。華やかさに掛け、一番好きな花として名前を上げる人は少ないですが、花屋さんにとって非常に頼もしい花です。
そんなスターチスの花言葉は「変わらぬ心」、「途絶えぬ記憶」。枯れずに、ほとんどそのままの状態で美しいドライフラワーになるスターチスに相応しい内容です。パープルのスターチスには「上品」、「しとやか」という意味もあります。
チューリップ
春の花代表といえばチューリップです。花に興味のない男性や子どもでも知っているので、もらったときに安心感を感じる親しげな花で、シーズン中は飛ぶように売れていきます。チューリップのパープルは暖色寄りで、青というよりは赤に近いですが、誰にでも喜ばれるので贈り物に最適です。
花言葉も「思いやり」で、誰にどんなシチュエーションで贈るにもぴったり!紫のチューリップには「不滅の愛」という花言葉も込められています。
ミスティブルー
小さな花がたくさんついたミスティブルーは、さながらパープルのカスミソウといった感じで、花束に動きやボリュームを出したり、甘やかなイメージにするのに便利な名脇役です。全体的に青い感じを保ったまま、もう少しなにか花を足したいときに試してみてください。
ミスティブルーの花言葉は「驚き」。小さな花と細い茎はこれ以上なく繊細に見えますが、びっくりするくらい長持ちすることに関係するのかな、と思っています。
青い花に合わせやすい色は?
花束を作るのに他の花と組み合わせて作る場合、同じ色を多用すると息苦しくなるので、サブカラーに別の色を選ぶとこなれたフラワーアレンジメントにすることができます。お好みによって何色を合わせてもいいですし、花の形や青の色合いによってもとくに合う色が変わってきますが、青い花をアレンジするときにわたしがとくに合わせるのが好きな色を紹介します。
ホワイト
ホワイトは青い花をより青く、清潔で純粋に引き立ててくれます。ともすれば男性的で、寒色が強調されてクールな花束になりすぎてしまいますが、ホワイトを混ぜると断然女性的で、愛らしい雰囲気になるので、青い花が好きな女性への贈り物にとくにおすすめです。
イエロー
主張の強い青とイエローですが、いっしょにアレンジすると元気で明るい花束が完成します。個性的な見た目は花束を贈られ慣れているご婦人や、男の子の誕生日や発表会に持っていく花束に人気です。
グリーン
葉っぱと同じような色のグリーンは、あまり賑やかにしたくないけれど、さり気なくほかの色を混ぜるのに適役です。色や花にもよりますが、重めでクラシックな大人っぽい印象のフラワーアレンジメントを作るのに適しています。
まとめ
青い花には、ふだん花屋さんや既成の花束には見かけない、珍しい形状の花が多いです。花屋さんの技術や知識の問われる色ですが、腕のいい人が作るとふだんとは違った個性的でおもしろい花束を手に入れることができます。
日頃取り扱っている花ではないことも多いので、事前に予約して、希望通りのフラワーアレンジメントに出会えると良いですね。