切り花は水に入っていないと枯れてしまいます。そうは言っても、いつでもプレゼント用の花束を渡す直前に花屋に立ち寄れるわけではないし、プレゼントした花束がすぐに花瓶の水に入るわけでもないのが難しいところ。
花束を長時間持ち歩く場合、どのようにすれば、どれくらい枯れずに持たせられるのか?というのは、花屋で働いているとよく聞かれる質問です。
花束は水なしでどれくらい持つの?
切り花は、水に入っていないとすぐに傷んでしまうイメージがありますよね。しかし、実はそんなにすぐに枯れてしまうわけではなく、花の種類や環境によっては、6~7時間水なしでも何とかなるものなんです。
というのも、花市場からわたしの働いている花屋にお花が届くまで、だいたいそれくらいの時間が掛かるのですが、配送されているあいだ、多くの花は水に入っていません。
規模の大きなわたしの職場では、花市場で買い付けて店舗別に仕分けるチームと、各店に配達する人、到着した花を店に飾り立てて販売するチームがすべて異なります。数ある店に大量の花を分け、配達しなくてはいけないので、「この花はこの店に~」「この花はあっちに~」「先にA店に届けてからB店に移動して~」…としているうちに、どうしても花が水に入っていない時間が長くなってしまうんです。
幸い、花市場で切り花が仕分けられているのは深夜2時から5時くらいの早朝。夏場でも涼しくて、太陽の出ていない、切り花が傷みにくい時間帯なので、お花が傷んでしまう前に水に入れる事ができています。
ですので、涼しくて過ごしやすい時期に、直射日光を避けた場所で持ち歩く場合には、あまり心配する必要はありません。そうでない時間帯には、ちょっとした工夫をする必要があります。夏の暑い昼間にお花を無造作に持ち歩くと、2~3時間でも弱ってしまうこともあるので、要注意です。
長時間ブーケを水に入れずに持ち歩くときには
暑い夏や、日の注ぐ昼間、5時間を超える長時間など、切り花にとって悪状況で持ち歩くときは、できるだけ花が傷まないように工夫する必要があります。自分でできることもありますが、花屋さんで処理をしてもらう必要もあるので、購入するときに長時間持ち歩くことを伝えて、正しい処理をしてもらうようお願いしましょう。
ここで、ひとつお願いがあります。お花をすぐにプレゼントできないことは、ぜひとも花束を作り始める前にお伝え下さい!
切り花が水に入っていなくても傷まないようにする工夫は、花を選ぶところから始まっているので、ラッピングが完成してから伝えられると、場合によっては最初からやり直すことになってしまいます。できれば、前日までに予約して、そのときに一言伝えていただけると、とてもとても助かります。
ちなみに、長時間持ち歩くことが分かっていれば、以下のことに気をつけて花束を作成します。
- 水に入っていないと傷みやすい花を避けます
- お花の切り口に多めに水を含ませます
- 持ち歩く時間によっては、花と花のあいだを詰めすぎないようにし、余裕を持って束ねます
- 季節や持ち歩く時間の長さによっては、「今の時期に長時間花束を持ち歩くのは少し心配なので、切り花ではなくて鉢植えはいかがですか?」という提案をさせてもらうこともできます。
せっかくの花束です。プレゼントするときに花がクタッとなってしまい、悲しいことになってしまうのを避けるために、積極的に花束を購入する花屋さんの意見を聞いてみてください。
花束の持ち運び方
お花屋さんでやることをやってもらったら、あとはプレゼントするまできれいな状態を保つだけ!長く持ち歩けるように準備してもらった花束。持ち歩いているときに駄目にしてしまわないよう、お花を痛めない持ち方で運びましょう。
花束を立てて持ち歩く
花束は、お花の切り口に水の入った容器を被せたり、湿らせたキッチンペーパーを巻き付けたりして、お花が少しでも水を吸えるように作ってあります。
長時間持ち歩くことが分かっていると、水を多めに入れてあることがあり、横に倒したり逆さに持ったりすると、水が漏れ出してしまう可能性も。
地植えのお花と違い、切り花の花びらや葉は水に弱く、濡れると傷んだり、腐ったりしてしまうものが多いです。せっかくのラッピングも、水に濡れるとヨレたりシミになったりするので、多めに水を入れてもらったことが逆効果にならないよう、花束はいつでもまっすぐに立てて持ち歩いてください。
車で移動するときには、花束を潰さずに入れられる大きさのダンボールやバケツを用意しておき、その中に花束を立てて入れ、助手席や後部座席の足元に倒れないように固定しましょう。
持ち歩きに便利な袋
長時間持ち歩く場合、ずっと抱えていると片腕がふさがっていて不便だし、人目を引くので恥ずかしくもありますよね。専用の袋を用意している花屋さんもありますが、そうでない場合には花束を入れる専用の袋もネットで購入することができます。
逆三角形のトートバッグのような形で、花束を痛めることもなく、便利に持ち運べるようになっています。花束を持ったままあちこち移動する場合に便利です。
可能なら涼しい場所で保管する
仕事前に購入し、渡すのが就業後だったりする場合、購入した花束はできるだけ涼しい場所で保管するほうが、お花が元気なままプレゼントすることができます。
車の中や、風通しの悪い倉庫などは、夏だとかなり蒸し暑くなりますよね。直射日光が当たっているとさらに状況が悪く、そういう場所に花束を置いておくと、たとえ水に入っている花でもすぐに元気がなくなってしまいます。
花屋さんにアドバイスを求めましょう!
切り花が水から出ている時間が長い場合には、対策を取る必要があるので、一声かけて欲しい、ということを紹介しました。そうはいっても、縁がないとほとんど行くことがない花屋さんで、相談しながら買い物をする、というのは緊張する…というひとも、少なくないんですよね。
こちらのページでは、花屋さんでの買い物の仕方や、入りやすい花屋さんの見分け方をまとめてみました。ぜひ合わせてご確認ください。