花屋で働いているとときどき聞かれるのが「明日渡すのに花束が欲しいんだけど、前日しか買いに行く時間がない。渡すまでどうやって保管しておけばいい?」という質問です。当日は忙しくて買いに行けず、やむを得ず前日に買うしかない…ということもありますよね。
それでも新鮮な花束を贈りたい場合、どうやって注文、管理をしたら良いのかを紹介します。
花束を前日に購入する場合に知っておきたいこと
切り花は生き物なので、当日、できるだけ渡す直前に購入したほうがもちろん良いのですが、前日にしか購入できない場合でも、いくつかの注意点に気をつければ、元気なままの花束を贈ることができます。
渡すのは翌日であることを花屋さんに伝える
いつ、どのようにプレゼントするのか、プレゼントしたあとにすぐに花瓶に飾れる状況かどうか…など、花束の扱い方が分かっていれば、それに合わせて花を選んだり、ラッピングしたりすることができます。
なので、花束を長時間持ち歩く予定だったり、贈るのが翌日になることが予め分かっている場合には、ぜひ、できるだけ早い段階で花屋さんに伝えてください。花束を前日までに予約して、そのときに伝えてもらえるとさらに助かります。
花屋さんが具体的にどんなことに気をつけるかというと、主に
- 傷みやすい花を避ける
- 花束をきつく束ねすぎないようにする
- 切り口に水を多めに入れる
です。ひとつづつ紹介します。
水に入っていないと痛みやすい花を避けて花束を作ります
一口に切り花といっても、丈夫さや管理の方法は様々。花束が長時間水に入らないと分かっている場合、水に入っていないとすぐに枯れてしまう花を使わずに、丈夫で長持ちしやすい花を選んで花束を作ります。
3日以上前に予約をしてもらえれば、翌日贈られる花束を作るつもりで花の注文をすることもできるので、早めの予約ですてきな花束を作ってもらいましょう。
束ねるときにゆとりを持って作ります
普段、花束を作るときは適度に花を詰めて束ね、見た目を良くしたり、柔らかい茎が曲がってしまわないようにしています。しかし、ラッピングの中では茎や葉が混雑しているので、長時間そのままにしておくと、蒸れて傷んだり腐ったりしてしまう恐れも。
ですので、翌日にプレゼントされる花束をつくるときには、花と花のあいだを詰めすぎないよう、余裕をもって花束を束ねます。
できるだけ花が水を確保できるように作ります
お花がまったく水を吸えない状態の花束を作ってしまうと、とても翌日まできれいに保つことができません。普段、花束を作るときにも、切り口の部分に水を入れ、少しでも新鮮に保てるように工夫していますが、翌日プレゼントする花束の場合、さらに工夫が必要になります。
どのような方法でお花に水を与えるかは、季節やお店の方針、当日お客さんがどれくらい手間を掛けられるかによって異なりますが、シンプルなのは、いつもよりも多めの水を切り口に含ませてラッピングする方法ですね。
ただ、この方法だと、暑い時期だったり、渡すタイミングが遅れたりすると水の量が不十分なこともあるので、個人的には、根本を出した状態でラッピングをして、家に持ち帰ってもらってから花束を水に入れられる状態で作るのが好きです。選んだ花や包装紙の雰囲気によっては、根本が出ているラッピングでもおしゃれに見えて可愛く仕上げられるものです。
ラッピングのデザインや、プレゼント当日までの管理については、事前にお花屋さんで確認しておくのが安心です。
保管場所の温度管理に気をつける
さて、渡すのが翌日でも大丈夫な花束を作ってもらい、これで安心、というわけにはいきません。持ち帰った花束は、プレゼントする翌日まで大事に保管しましょう。
とくに、切り花を置いておく場所は重要で、花束を元気に保つために、直射日光の当たる場所、エアコンの風が直接当たる場所、暑い場所、野外を避けて保管します。これらの場所に置いておくと、たとえ花瓶に飾ったお花だったとしても、驚くほど早くしなしなになって枯れてしまいます。
「購入した花束を奥さんから隠しておいて、サプライズでプレゼントしたいから、車の中に一晩放置したい」などの都合も分かりますが、暑い時期に車内に一晩放置したら、花は翌日間違いなく枯れてしまっています。
持ち帰った花束は、風通しがよくて涼しい、玄関や廊下、脱衣所などで保管しましょう。
ちなみに、冷蔵庫に入れる、という方法もありますが、これについてはいろいろ注意が必要なので、別途こちらのページで紹介しています。
花束を立てて保管する
花束の根本に水が入れてある場合、傾けると流れ出して花や包装を濡らしてしまいます。せっかくのラッピングですが、濡れるとよれたり、染みになったりしますし、切り花の葉や花に水がつくと花が痛む原因になってしまいます。せっかく入れてもらった水もなくなってしまい、プレゼントするまでに水が足りなくなってしまうしで良いことなしです。
一旦花束を受け取ったら、花束を潰してしまわない大きさのダンボールやゴミ箱などに花束を立てていれると、いい感じに上向きに保管できます。
花びらを濡らさないよう気をつける
花は水をあげたら元気になる印象がありますが、 切り花の場合、花びらが濡れると傷んでしまったり、腐って透明や茶色に変色してしまったりして、見た目が悪くなってしまうものが多いです。もし花や茎が弱ってきたように見えても、霧吹きで水をかけたり、直接濡らしたりするのは厳禁です。
もし元気がなくなってしまったら
これらのことに気をつけて保管していても、絶対に大丈夫!と言いきることは、残念ながらできません。お花は生き物ですからね。茎が柔らかく曲がって花が下を向いてしまうなど、元気がなくなってしまうこともたまにあります。
もし元気のない花がひとつ、ふたつだけの場合には、その花だけ花束から抜き取ってしまいましょう。花束を輪ゴムで留めてあるあたりをしっかり握って、抜き取りたい花のできるだけ根元のほうを掴んでまっすぐ引っ張れば、他の花を動かさずに一本だけ抜き出すことができます。
花束全体が元気がない場合、根本に入れてある水が足りていません。せっかくきれいにラッピングしてもらったのを解いてしまうのはもったいないですが、そのままにしておくとどんどん萎れてしまうので、ラッピングを解いて根本を出し、乾燥してしまっている切り口を少しだけ切り戻してから水に入れてください。
注意してラッピングを解体すれば、プロがやるほどうまくいかないかもしれませんが、同じ包装紙を再利用してラッピングすることもできますし、花束を前日にしか購入できなかった事情を説明して、新聞紙などで包んだ花を渡すのも、萎れてしまったものをプレゼントするよりずっと良いと、わたしは思います。
宅配を上手に活用!
プレゼントするのが相手の自宅だったり、花束を贈るのがサプライズではない場合には、相手のお家に花束を届けてもらうのも、一つの手です。
面と向かって手渡しする特別感はなくなってしまいますが、持ち歩きに向かないお花ですので、お家に届けてもらって、すぐに花瓶に入れられれば、長く飾って楽しむことが出来ます。まずは、ご利用予定のお花屋さんが配達も行っているか確認してみましょう。
お花の種類やラッピングに拘りがなくて、簡単に手続きを済ませたい!という場合には、ネット注文が便利です。地方のお花屋さんだとネット環境が整っていないお店がほとんどですが、そんなときに便利なのがイーフローラ。送り先の住所が分かっていれば、あとは値段、色、用途などを選ぶだけで、支払いまで済ませることができます。
わたしも何度か、母の日の贈り物でお世話になりました。海外からでもサッと利用できるのでとても便利です。